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咲穂の言葉に頭が一瞬、
真っ白になった。
風呂から上がると部屋には咲穂一人のはずなのに、
何やら騒がしく妙な胸騒ぎを感じていたと思っていたらドンピシャ。
見事に嫌な予感は当たってしまい、
俺はかなり動揺していた。
判子がある場所には、
まだ例のものが仕舞ったまま。
いや、
待て。
大丈夫だ。
確か引き出しの底に隠すように仕舞ってあったはずだ、
と自分に言い聞かせる。
でも心臓はドクドクと激しく脈打ち治まることはなかった。
咲穂の微かな変化を見逃さないように姿を追う。
やっぱり見ていないのか?
特に変わった様子もなく届いた荷物を見ている。
「ユキ、
これ愛子さんから?」
荷物を手にしながら自信なさげに俺を見る。
愛子の名前につい反射的に激しく反応してしまう。
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