小さな落とし穴

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俺は無意識に同じような想いを繰り返したくなかったのかもしれない。 過ぎてから気づくことは沢山あるのだと、 最近つくづく思い知らされる。 何であの時、 気づくことができなかったのか…… 何であの時、 そうできなかったのか……、 って思うところも後悔も沢山あるけど、 今となってはそれも思い出の一部。 できれば自分の口からはっきりと説明したいから 咲穂が気づかなかったのなら、 これ幸いなこと。 ドアの向こうに咲穂の気配がないのを確認してから 俺はソッと婚姻届が仕舞ってある引き出しへ足を向けた。 キチンと閉められている引き出しにホッとしながら開けた瞬間、 俺は自分の目を疑った。 引き出しを開けた瞬間、 俺の目に飛び込んできたのは見覚えのある茶色い封筒。 物凄い勢いで隠した時の記憶が頭を駆け巡ってゆく。 確かに…… 確かに俺は封筒を引き出しの奥に隠すように仕舞っておいたはずだった。 それなのに何故一番上にある?  嫌な予感が脳裏を横切り、 俺の胸をざわつかせだす。
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