小さな落とし穴

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     * 嘘のようにすべてが順調で……、 あまりにも順調過ぎるような気がしていた。 本当にいいのだろうかと変な不安を覚えつつも、 今の幸せな時間を私は堪能していた。 毎日とは言わないが、 あの日以来ユキのお母さんからかかってくる電話。 本当に他愛もない会話だが、 すごく話しやすく会話が弾む。 気に入ってもらえていると勝手に思い込み嬉しくて堪らない私。 近々うちの両親とも会いたいと言ってくれ、 結婚式の話がトントン拍子で進んでいきそうな気配だ。 嬉しそうに結婚式の話をするお母さんに私も顔が綻ぶ。 やっぱり結婚というものは 二人だけの問題ではないのだと実感させられる。 実際、 私では気付けなかった式の準備、 段取りを丁寧に助言してくれ、 かなり助かっている。 「咲穂、 また母さんか?」 電話を切ったと同時に呆れ気味なユキの声が耳に届く。
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