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嘘のようにすべてが順調で……、
あまりにも順調過ぎるような気がしていた。
本当にいいのだろうかと変な不安を覚えつつも、
今の幸せな時間を私は堪能していた。
毎日とは言わないが、
あの日以来ユキのお母さんからかかってくる電話。
本当に他愛もない会話だが、
すごく話しやすく会話が弾む。
気に入ってもらえていると勝手に思い込み嬉しくて堪らない私。
近々うちの両親とも会いたいと言ってくれ、
結婚式の話がトントン拍子で進んでいきそうな気配だ。
嬉しそうに結婚式の話をするお母さんに私も顔が綻ぶ。
やっぱり結婚というものは
二人だけの問題ではないのだと実感させられる。
実際、
私では気付けなかった式の準備、
段取りを丁寧に助言してくれ、
かなり助かっている。
「咲穂、
また母さんか?」
電話を切ったと同時に呆れ気味なユキの声が耳に届く。
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