986人が本棚に入れています
本棚に追加
ピンポーン……
催促するようにインターフォンがもう一度鳴った。
「あ、
はーい!」
宅配業者を待たせたままだということに気づき、
慌てて判子を手にすると玄関へと急いだ。
随分待たせてしまったのに
嫌な顔ひとつしない配送業者さんに申し訳なく思いながら
荷物を受け取る。
誰からの荷物か気になったが、
今はそれどころじゃない。
荷物を手に速足でリビングに戻ると私は迷わず、
さっきの引き出しに向かった。
あんな封筒どこにでもある、
と思いながら、
わざわざ引き出しの底に隠すように仕舞われていたような気がして不安が横切る。
手に持っていた荷物を置くと私は引き出しから、
その封筒を取り出した。
中を見る勇気はないが、
そのまま何も見なかったことにして仕舞っておくこともできない。
私は意を決して封筒を開くと、
中に入っていた紙を引き抜いた。
最初のコメントを投稿しよう!