547人が本棚に入れています
本棚に追加
ユキの真意が聞けたから言わなくても良かったかもしれないが、
変に気持ちを隠したくなかったのだ。
私たちは知り合って日がないせいか、
始まりが普通とは少し違ったせいか、
ちょっとした隠し事やお互いを思い合っての嘘で
何度も何度もすれ違い、
知らないところで傷つけ合ってしまった。
好きだからこそ、
嘘も隠し事もみんな裏目に出てしまうことを
ユキと出会い知る事ができたのだ。
だから、
これから多少喧嘩になったとしても思ったこと、
感じたことはキチンと言おうと思った。
――私たちはこれから結婚し、
本当の夫婦になるのだから。
*
――胸が痛い。
やっぱり咲穂を少なからず不安にしていたのだと思い知らされた。
「ごめん、
大切なことなのに言い出せなくて……。
今言ったように、
ただ咲穂を手放したくなかっただけだから。
確かにあの時無理矢理出してしまう事だって出来た。
最初のコメントを投稿しよう!