真実

13/15
前へ
/15ページ
次へ
ユキの真意が聞けたから言わなくても良かったかもしれないが、 変に気持ちを隠したくなかったのだ。 私たちは知り合って日がないせいか、 始まりが普通とは少し違ったせいか、 ちょっとした隠し事やお互いを思い合っての嘘で 何度も何度もすれ違い、 知らないところで傷つけ合ってしまった。 好きだからこそ、 嘘も隠し事もみんな裏目に出てしまうことを ユキと出会い知る事ができたのだ。 だから、 これから多少喧嘩になったとしても思ったこと、 感じたことはキチンと言おうと思った。 ――私たちはこれから結婚し、 本当の夫婦になるのだから。       * ――胸が痛い。 やっぱり咲穂を少なからず不安にしていたのだと思い知らされた。 「ごめん、 大切なことなのに言い出せなくて……。 今言ったように、 ただ咲穂を手放したくなかっただけだから。 確かにあの時無理矢理出してしまう事だって出来た。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

547人が本棚に入れています
本棚に追加