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朝、
珍しく目覚ましより早く目が覚めた。
俺は隣で眠る咲穂の寝顔を見つめ、
昨日の記憶を思い起こす。
咲穂が婚姻届のことを聞きたがっていると言うことはすぐに分かった。
言うタイミングを逃してしまった俺は、
咲穂が変に誤解しているんじゃないかと深読みまでしてしまい、
なかなか寝室に来ることができなかった。
気づくと零時をとっくに回っていて慌てて寝室に来たものの、
案の定咲穂は待ちつかれたのか
変にベッドに寝転び寝息を立てていた。
決して逃げていたわけじゃない
――逃げる必要なんてないんだから。
ただ、
すごく大切な言葉を誤りたくなかったのだ。
すべてはあの婚姻届から始まっただけに、
ソレが今もまだ出さずに仕舞われていた事に
咲穂はどう感じたのかが気にかかる。
今だから良いが、
もしもう少し前に咲穂に見つかっていたら
今みたいに咲穂の寝顔なんて見ていられなかっただろう。
――そんなこと想像したくもない。
幸せだからこそ感じる不安に昨日俺は襲われていた。
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