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時間が経てば経つほど言い出しにくく思い切りがつかなかった。
でも今の俺と同じように咲穂も不安を抱え
眠りに落ちたのだと思うと胸が痛んだ。
後ろめたい気持ちはないのだから、
とりあえずいつもと同じように振舞おう。
そう思いながら今にもなりそうな目覚ましを切り、
まだ眠る咲穂を軽く揺さぶる。
「起きろ、
もう目覚ましなるぞ」
ソレに反応するように咲穂が小さく唸り、
俺の手を迷惑そうに軽く退けにかかる。
相変わらずの寝起きの悪さに思わず笑ってしまう。
こんな咲穂を見ていると存在を近くに感じることができ、
幸せだと思える自分がいる。
もう一度揺さぶると、
やっと眠そうに重たい瞼を開けだした。
でも条件反射だろう。
俺を目に捉えた瞬間、
昨日の事を思い出したのか、
咲穂は思いっきり目を見開いて見てきた。
その表情はかなり動揺していて言葉が出てこないようだった。
やっぱり咲穂をかなり戸惑わせてしまったのだと確信する。
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