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「おはよう。
昨日、
引き出しで見たんだろ?
中の婚姻届も……」
すぐに顔に出てしまう咲穂を変に不安にさせたくなくて
俺は動じることなく淡々と話を切り出した。
案の定、
咲穂は俺の言葉に過剰な反応を見せた。
でも、
ただ表情を曇らせ唇をきつく結ぶだけで、
見たとも見てないとも言わない。
「普通に出したと思っていたものが出されてなかったら
ビックリするよな」
俺は空気が悪くなってゆくのを感じ、
更に自ら切り出した。
一瞬、
戸惑いの表情を見せたが、
すぐに小さく頷く咲穂。
反応してくれて少しホッとした。
大丈夫と分かってはいたが、
もしこれで咲穂が何かを思い、
拒絶とまではいかないが変に心に溜め込まれるのが嫌だった。
でも今の咲穂の反応からは
俺の話を聞こうという姿勢が感じられた。
?
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