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私がユキを信じるように、
ユキもまた私との繋がりの深さを信じているのだと思った。
だからあの場ですぐに言わなくても大丈夫だ
と思ってくれたのだと私は勝手に解釈した。
それでもやはり“早く知りたい”って思うし、
自然と気持ちが逸りだす。
――二人の間に微塵の秘密も不安も持ちたくないって思うから。
――…
―…
最悪だ。
本当に最悪だ。
私は何度も何度も心の中で唱えながら帰路を急ぐ。
いつもなら定時過ぎには帰れるのに今日に限って急な打ち合わせ。
しかも予定されていなかったため、
資料の準備に追われ三時過ぎから息つく間もない状態だった。
気づくとすでに定時はとうに過ぎていて
事務所に人も少なくなっていて日も落ちている。
一瞬ユキに連絡を入れようとも思ったが時計を見ると、
いつもならまだ帰っていない時間。
急いで帰ればユキよりも先に帰ることができると思い、
私は今こうして急いでマンションへと向かっているのだ。
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