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両親の手元から嫁ぐんだって、
式の準備をしているときに思った。
これで本当に両親の元を離れるんだと思うと、
幸せではあるが寂しく感じる。
「嫁いでも私たちの子に変わりないんだから」
涙ぐむ私にお母さんの言葉が余計に涙を誘った。
私は子供みたいに声を上げ号泣してしまい、
両親に笑われながら宥められた。
眠る前に掛かってきたユキからの電話は
ちょっと新鮮で年甲斐もなくドキドキしてしまった。
「明日だな。
これで皆に俺たちの事、
みんなに祝ってもらえるな」
嬉しそうに沁々と言うユキの言葉に、
まだ見ぬ明日の光景が目に浮かび自然と頬が緩んでしまう。
明日式場で、
と約束を交わすように互いに口にし、
おやすみと言い電話を切った。
「緊張してるね」
鏡に映る自分を見つめたまま固まっている私に容子が笑う。
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