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――もう隠し事なんて何一つ無い。
そう思ったら気持ちが一気に楽になるのを感じた。
俺の腕の中にすっぽりと収まる咲穂から伝わる体温と重みが凄く心地良い。
あとはこの婚姻届を出せば咲穂と戸籍上、
正式な夫婦になれるのだと思うと気持ちが浮き足立つ。
友人が婚姻届を二人揃って出しに行った
と以前聞いた時は単なる紙切れなのに、
と何も感じなかったが今なら分かる。
所詮、
婚姻届なんて紙切れかもしれないが
二人で出すことに意義があるように思えてきた。
そして昨日からずっと頭の中で思い描いていたシナリオをもう一度復習する。
婚姻届を一緒に出しに行こうって言い、
密かに買っておいた指輪と共にプロポーズの言葉。
本当はどこかで夜景を見ながら、
とも思ったが今の状況では難しいし、
また日を改めてというのも違う気がする。
何より俺自身、
早く咲穂を自分のモノにしたかった。
それでも、
ずっと結婚に憧れていた咲穂にとって
一生の思い出になるように
キチンとプロポーズの言葉は贈りたいって思った。
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