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咲穂の言葉が俺の胸を深く鋭く貫き、
心臓が信じられないくらい速鳴りだした。
興奮したせいか体温が急激に上昇してゆく。
咲穂が「嫌」だって言った意味がよく分かり、
咲穂の言う通りだと強く納得させられた。
俺たちにとって、
この婚姻届は始まりで特別なもので
大切に取っておきたい
っていう咲穂の気持ちがすごく嬉しく、
何で自分は気づかなかったのかと深く反省させられた。
「そうだな、
これは大切に仕舞っておこうな」
俺がそう言うと咲穂はホッとした顔を見せ、
満面の笑みと共に深く頷いて見せた。
咲穂の真意が分かり胸に引っ掛かっていたものが取れ、
安堵とした俺は然り気無くポケットに忍ばせておいた指輪の箱を確認する。
そして緊張の瞬間。
俺は小さく咳払いをすると咲穂を真っ直ぐ見つめ、
優しく手を握る。
「咲穂」
緊張のせいか
声がいつもより低くなってしまったことが気になってしまった。
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