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「はい!」
いつもと違う俺から何かを察知したのか、
それとも俺の緊張が移ったのか、
咲穂も緊張した面持ちで俺を見てきた。
あまりに咲穂が食い入るように見てくるから
俺の緊張は更に高まってしまう。
只でさえタイミングを計っているのに、
緊張のせいで乾いた唇が開くことを拒み俺の邪魔をする。
一瞬俺を見つめていた咲穂の表情が歪み、
無意識に握っていた咲穂の手を握る手に力がこもってしまっていたことに気づく。
俺は慌てて力を緩め、
気を取り直し咲穂を見つめる。
そして一つ深呼吸をしてから
「俺たちは出会い方も始まり方も少し変わってるし、
まだ知り合って間もないけど
気持ちは誰にも負けないくらい深く繋がっていると思う。
いっぱい不安にさせたり心配もかけたけど、
これからもずっと俺の傍に居て欲しい……」
言葉ひとつひとつを大切に気持ちを込めてゆく。
言葉にするだけで、
こんなにも胸が熱くなり、
今まで咲穂との記憶が呼び起こされる。
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