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そう。俺はあの時物凄く傷付いた。
あの頃の俺は優等生だったのだ。だが橋田のあの言葉で、ヤンキーになることを決意した。
教師なんて所詮、生徒を見下す生き物なのだと、そこでやっと理解したのだ。
黒い髪を金髪に染め、不味い酒や煙草を始め、授業をサボることに決めた。
どれもこれも全部、橋田のせいだ。
橋田は視線を逸らすどころか穴が空きそうな程俺の顔を見つめ、やがて右手の指に挟んである、一本の煙草を見せた。
恐らく俺の煙草だ。
「煙草はやめろって言ってもやめないのはそのせいか?」
「…ああ。悪いかよ。てめえの言うことなんか二度と聞かねぇからな」
レンズ越しの黒い双眸が、何かを企んでいるかのように光った気がした。
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