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堅苦しいスーツなんぞに身を包み、橋田は俺を睨んだ。
「先生と言え。お前は俺の生徒だろう。毎回俺の授業を抜け出して一体何が気に入らない?」
俺も負けじと睨み返した。睨み合いで負けたことなんて無い。いつも必ず相手が視線を逸らす。
「何が? てめえが気に入らないんだよ。見下しやがって」
橋田は笑った。こいつ……何が可笑しいんだ。
「俺がいつお前を見下した? 景門(かげと)。俺には全く覚えが無いがな。教えてくれ」
覚えが無いだと?
頭に血が上る。俺は思わず叫んでいた。
「俺がてめえに黒板に書いた字をすぐ消すなって頼んだら“俺に指図するな、生徒の分際で”って言っただろうが!」
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