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「藤子、雪兎はどうだ」
「案外センスがよくてびっくりしました。和服は初めてって言ってたのに・・・」
「有望・・・なわけか。今のところ」
「まぁ、頼り無いのは確かですが」
「虎太郎も良くやっているようだ。緋原から連絡があった」
「虎太郎は元気ですか?」
「熱を出す事もあるようだがどうにか鍛錬も続けているようだ」
「よかった・・・」
「心配だと思うが、虎太郎を信じろ。今は雪兎を育てることに集中しろ、襲名が終われば・・・藤子、好きにしていい」
「それは・・・。雷文十郎太の妻ではダメということですか?」
「お前はここでなくても生きる道があるだろう」
「おとしまえはつけないんですか?」
「今更だ。その必要はない」
「優しいんですね」
「昔の俺ならわからんが、今の俺は・・・そんな気はないよ」
「あなた・・・」
藤子は静かに部屋から出ていった。
こたクンの声も聞くのも駄目なのかな。でも、声を聞いたら会いたくなる。スマホをじっと見ながら指で虎太郎の写真のついたアドレス帳を撫でていた。
ちょっと鳴らしてみようかな・・・でも・・・修行は夜まであるのかな?
指が通話ボタンにかかってしまった。すぐ終了を押す。
はぁぁ~、会いたいな。
すると電話の着信音が鳴る。こたクン・・・履歴でばれちゃった。
「あ・・・こたクン」
「ゆき・・・ワン切りしたろ」
「ごめんなさい、声・・・聴きたくなっちゃって」
「修業はどうだ?」
「まだ始めたばっかりだから・・・こたクン大丈夫?痛かったり、お熱出たりしてない?」
「熱は2、3回出たかな、でも大丈夫」
「心配だよぉ」
「俺はお前の方が心配だ、ゆき」
「そうかもね・・・こたクン強いから」
「あ~声聞いたらゆきに触りたくなっただろ」
「えっ?なにを?」
「なにをじゃねぇよ。そうだ、俺の言った通りに電話口でHしろ!」
「なっ//なにいってんの?もう、こたクンはっ!」
「だってゆきが不足してるんだもん。溜まってるし」
「僕だって・・・」
「独りでしてんだろ・・・」
図星・・・何でわかるんだろ。
「そ・・・そんなこと」
「したんだな・・・」
フフフっと嗤って囁くようにいう。
「どんなふうにしたのかやってみて」
そんなこと・・・そんな事・・・・恥ずかしい。
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