花嫁修業

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会いたい・・・・会いたいよぉ。 グズグズと泣いて枕を濡らした。なんて弱虫なんだろう。 声を聞いたらこういう気持ちになるってわかってたじゃないか。 でも元気で良かった。僕よりずっと辛いことをしてる。 我慢しなきゃ、ちゃんといい姐さんにならなくちゃ。 次の日も普通の常識から極道の常識までいろいろ教えてもらった。 「こたクンはどんなお仕事してるんですか?」 「そうね、シマの見周りね。息のかかった盛り場の店を回って経営状態や運営状況を見るのが主な仕事。ブラックリストに載った客からの取り立てなんかは下の組がするの。虎太郎は、その組みの者が警察沙汰になるような事がないか、見張ったり・・・」 「難しそう・・・」 「アンタはそんな事関わらない方がいいわ」 「まずは龍仁会の人の名前と役職を頭に叩き込んで、どんな仕事をしているとか・・・、あとは上の人間に粗相のない様にすればいいのよ」 「はい」 素直で可愛いのよね。何でこの子なのって思ったけど・・・虎太郎が惚れるのも無理はない気もする。虎太郎が帰ってきたら本当の事を告げなければならない。それが最後の仕事・・・。 でもあの人を置いていくわけにもいかない。妻としてそれなりに愛情は注いでくれたのだもの。看病は自分がしたい。せめてあの人が天に召されるまで・・・藤子は遠くの山を眺めていた。
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