虎太郎の決意

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二学期が始まった。こたクンの机は開いたまま・・・。 行き帰りはこっそり電柱に印をつけて辿っている。帰る家は雷文のお屋敷。僕は少し髪を切った。でも今は何も言ってくれる人はいない。 「おっ!ゆき、髪切ったのか?」 声がしそうな気がする。東京も暑いけど九州はもっと暑いんだろうな。 あれから電話もしていない。ヘンな事になったからじゃない。 また声を聞くと、会わないと気が済まなくなりそうだから・・・。 こたクンの邪魔になっちゃう。こたクンの机を撫でる。 「雷文、長期休暇なんだってな」 後ろから声がした。中学の時、生徒会に誘ってくれた飯塚クンだ。 「うん」 「アイツがいなくてせいせいする。アイツが学校の品格を損なってるんだ」 「そんなことないよ。高校になってからは真面目だったよ」 「お前、幼馴染だからって贔屓してんのか?」 「贔屓じゃないよ」 贔屓じゃない。こたクンが好きなんだ・・・そう言いだしてしまいそうだ。 飯塚クンは、じっと僕を見ると急に赤くなったり、そっぽ向いたりした。 なんだろう? 「今日一緒に帰らないか?方向一緒だろ。上手いたこ焼きの店があるんだ」 「下校途中の買い食いは禁止だろ」 「硬い事云うなよ。もう生徒会じゃないんだし」 「こたクンよりよっぽど不良じゃないか」 「なんだよ!せっかく誘ってやったのに」 怒って行ってしまった。こたクンの悪口言っておいて・・・自分が校則を破るなんて・・・。数日後、放課後に屋上に呼び出された。 飯塚クンと取り巻きの二人。 「何の用?」 「この前は誘ってやったのに、素直についてくればいいのによ」 「そんな話なら帰るよ。雷文くんの悪口言っといて、自分が校則違反なんておかしいって言っただけだろ」 「生意気!なよなよしてるくせに」 前の僕なら、ただこたクンに頼ってただけだけど、今こたクンはいないし極妻になるって決めたんだもん。負けてたまるか。 「おい、抑えつけろ」 飯塚クンは二人に命令する。 「君たちも恥ずかしくないのか?こんな奴のいいなりになって」 「なんだと!」 飛びかかってきたので後ろに横に身をかわす。 「逃げてばっかりじゃ勝ち目はないぜ」 逃げながらも脱出の道を探しているんだ。身のかわし方は、藤子さんに教わった。どうもどんくさいらしくて、特訓でも舎弟さんたちにやすやすと捕まってしまったけど。
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