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早朝、家族みんな起きていた。僕も制服姿で家族を前に挨拶をする。
一ヶ月くらいは学校を休む。学校に手続きをした。
襲名披露、結婚披露、新婚旅行はお預けらしいけど、落ち着くまではしばらく休むことになる。
「17年間、育てていただきまして、ありがとうございます。稲葉家の長男でありながら、お嫁に行く事をお許しいただきありがとうございました。ご恩は一生忘れません。行ってきます」
「雪兎ぉ~」
「冴子」
お父さんとお母さんはお互いを支えながら見送った。
おばあちゃんは、真っすぐ前を見据えていた。
雷文の門をくぐる。藤子さんが玄関の前で待っていた。
「雪兎、用意するわよ」
「はい」
奥の間で、純白のウエディングドレスにそでを通す。
恥ずかしい事にミニスカート。ガーターベルト・・・コルセット。
ピンクのバラの髪飾り、ブーケ。長いベール・・・ピンクのリボン。
メチャクチャ女の子っぽい。僕のイメージってこんな感じ?
すごく恥ずかしい。
ドレスに着替えてから、組長さんの部屋に通される。
「今日は、虎太郎くんの襲名と共に、結婚披露の席を設けていただきありがとうございます。幾久しく宜しくお願い申し上げます」
「堅気のそれも男の君にこのような格好をさせ、すまないと思っているが、虎太郎が君を惚れている。支えてやって欲しい」
「はい、微力ですが虎太郎くんを支えさせていただきたいと思っています」
後ろから威勢のいい声がした。
「邪魔するよ」
「おばあちゃん!!」
「おばあちゃん?」
組長さんのびっくりした顔・・・やっぱり知り合いだったんだった。
「雪兎・・・こんな格好させられて・・・」
「瑛子・・・雪兎の祖母なのか?」
「そうだよ。あんた」
「じゃあ、雪兎の母親は・・・」
「アンタの娘、冴子だ」
えっ?お母さんが組長さんの娘?こたクンと兄弟?僕は・・・・孫?
頭がパンクしそうだ。僕は組長さんの血をひいている?
頭の中がパニックで真っ白になった。
僕たちは男同士なので子供を作らないから遺伝的に考えなくていい事はいいけど・・・僕とこたクンは他人じゃないってこと?
「冴子、聞いてたんだろ?入ってきな。お父さんに挨拶しな」
いつものおばあちゃんじゃない・・・極妻だ。
「あと、そこの影にいる藤子さん、若頭、出てきなさい」
お母さんとお父さん、北川さんと藤子さん・・・こたクン・・・?
真ん中に僕と組長さん、おばあちゃん。居間の一室に一同が会した。
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