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「藤子さん・・・じゃなかった、姐さんならこっちのベージュと水色の縦の大胆の柄のがステキかな」
「お目が高い!京都府丹後産の変わり絽織生地を使用したものです。落ち着きのある水色で描かれた細かい匹田(ひった)模様と、ベージュ色で描かれた縫い締め絞りのような模様が繰り返す、大胆な構図が印象的な遊び心が、奥さまにぴったりかと・・・。
独特な構図と配色が、とてもシャープで清楚な雰囲気を生み出しているのも奥さまのお出かけ着にぴったりかと思われます」
「雪兎・・・私の趣味も良く分かるわね」
「だって小さい時から見てるから」
結構、周りを注意して見てたのね。
ただボーっとおっとりしてる子かと思ったのに。
「組長さんにはこれ。ベージュの着流しにちょっと黄色かかったの羽織かな~、帯は縞じゃなくて柄・・・大きめがいいかも」
「何でわかるのよ」
「さっきお会いしたから。こたクンは紺より黒っぽい・・・たてに線が入ったのがいいな、帯は白に金で紋柄かな」
「すごいですね・・・雰囲気にぴったりのモノをお選びになる。奥さま・・・この方は?」
「息子の婚約者よ」
「えっ?あっ・・・失礼いたしました。男の方・・・ですか?」
「はい、男です」
「あ・・・スイマセン」
「雪兎、自分はどうするの?」
「男の子用ならこれかな?白の無地、帯は抑えめだけどあずき色の・・・」
「似合いそうね」
「すごいですね。和装は慣れていらっしゃるんですか?」
「いえ、初めて見ます」
「うちの社に来ていただきたいほどのセンスです。感服しました」
「あの女の子のも?」
「そうよ。どれがイイの?」
「うーん、黒に桜の柄の絽の着物かな」
「かわいいじゃない」
「お花好きだから・・・特に桜」
「ピンクの訪問着も似合いそう。着物の時は眼鏡やめなさい。いっそコンタクトにしたら?」
「そうですね。考えてみます」
「それでは今のお選びになったものでお仕立てして宜しいですか?」
「ええ、頼むわ」
「かしこまりました。では早速・・・仕上がりましたらご連絡させて頂きます」
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