知的障害者とは?

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以前は、「独:schwachsinn」「英:feeble mindedness」「英:mental deficiency」などの外来語の直訳として「精神薄 弱(せいしんはくじゃく、略称・精薄)」という用語が広く使われており、法律用語にも多用されていたが、「精神」と いう言葉は人格も含むうえ、精神障害と混同されやすいため、関係団体などでは「知的障害」という用語が使われるよう になった。平成12年(2000年)3月からは法律上の表記も、知能面のみに着目した「知的障害」という用語に改められ た。 また、かつては重度知的障害を「白痴(はくち)」、中度知的障害を「痴愚(ちぐ)」、軽度知的障害を「魯鈍・軽愚 (ろどん、けいぐ)」と呼称しており、これらの用語は法律などにも散見されたが、偏見を煽るとして「重度」「中度」 「軽度」という用語に改められた。 医学的な診断名には「英:mental retardation:MR」の訳として「精神遅滞(せいしんちたい)」、「精神発達遅滞(せいし んはったつちたい)」という用語が用いられる。これらは「知的障害」と同じ意味で使われる場合が多い。ただし、厳密 な医学的分類では「精神遅滞」・「精神発達遅滞」と「知的障害」を使い分ける場合もある。DSM-IVやアメリカ精神遅滞 学会(AAMR)の定義では、「精神遅滞」は「知的障害」の症状に加えて生活面、すなわち「意思伝達・自己管理・家庭生 活・対人技能・地域社会資源の利用・自律性・学習能力・仕事・余暇・健康・安全」のうち、2種類以上の面にも適応問題 がある場合をさす。しかし、こういった生活面に適応問題があるかどうかを判断するのは難しく、現実的には知能のみで 判断しているので、知的障害と精神遅滞は同義語だと考えても差し支えない。 現在では、教育分野や行政やマスコミなどでは、「知的障害」や「知的発達障害」や「知的発達遅滞」と呼ばれることが 多く、医学関係では、「精神遅滞」や「精神発達遅滞」と呼ばれることが多い。また、古くからあるくだけた言い方、俗 に使われる名称として「知恵遅れ(ちえおくれ)」や侮蔑した呼び方として「ノータリン」(脳味噌が足りないという意 味)という言葉があり、それらは子供内でも平然と用いられた。 またインターネットスラングとして、俗的略称である知 障(ちしょう)の誤変換である「池沼」の文字を当てる場合がある。
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