知的障害者とは?

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公的支援 知的障害があると認定されると療育手帳が交付され、各種料金の免除などの特典が与えられる。自治体によって、「愛の 手帳」や「緑の手帳」などの名称がある。また、障害年金や特別障害者手当などの制度もある。療育手帳などの福祉手帳 は、社会福祉法の制度で65歳未満と制限されている。人口比で計算すると先進国各国では年々減少はしているが、開発途 上国各国や後発開発途上国各国では減少が見られない国も多い。 知能指数の分布から予測すると、IQ70以下の人は2.27%(認知症を含む)存在するはずなので、理論的には日本の知的障害者 数は284万人になる。しかし、公的に知的障害者とされている人は推計41万人であり、実際に存在するはずの障害者数と比 較すると6分の1ないし7分の1であり、著しく少ない。また、上記の41万人のうち84%が療育手帳所持者であるが、軽度・ 中度の手帳の所持者が55%、重度・最重度の手帳の所持者が45%であり、理論上の出現頻度は障害が軽いほど多いので、そ れを考慮すると、軽度・中度の手帳所持者は実際の軽度・中度の人数のうちのごく一部であると考えられる。 知的障害者関連の犯罪 知的障害者の「問題行動」などによって重大犯罪の加害者もしくは被害者になる場合も多い。 元衆議院議員の山本譲司は不正受給問題で懲役刑を受けた時の体験から『獄窓記』という書籍を出版し、刑務所内の知的 障害者の比率が一般社会と比べて異常に高いと指摘している。著書『累犯障害者』の中で山本は、実社会では生きるすべ を持たない知的障害者たちが、繰り返し犯罪を犯しては刑務所に戻ってくる様を克明に描いている。服役囚全体の4分の1 が知的障害者である現実を伝えている。 原因による分類 病理的要因 ダウン症候群などの染色体異常・自閉症などの先天性疾患によるものや、出産時の酸素不足・脳の圧迫などの周産期の 事故や、生後の高熱の後遺症などの、疾患・事故などが原因の知的障害。 脳性麻痺やてんかんなどの脳の障害や、心臓病などの内部障害を合併している(重複障害という)場合も多く、身体的 にも健康ではないことも多い。染色体異常が原因の場合は知的障害が中度・重度であることが多く、外見的には特徴的 な容貌であることも多い。
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