137人が本棚に入れています
本棚に追加
△△県地方裁判所
第3法廷室
その法廷室は、異様な雰囲気に包まれていた
裁判官・検事・弁護士・陪審員・被告人達・傍聴席の者達
その場に居る、全ての者達の顔色が悪い
唯一、声を発する『モノ』
ICレコーダーから聞こえる、女の悲鳴と男達の嘲笑の声
悲鳴が途絶えると後は男達の声
残酷な音がする
傍聴席の者達は耳を塞いだ
くぐもった悲鳴が聞こえた後、男達の声が笑いながら遠ざかていった
レコーダーのスイッチが切られると、検事の声が室内に響く
「このICレコーダーを証拠として提出します…然し、中の声と音は元のレコーダーのコピーです…このレコーダー自体も、被害者が持っていた物と同型です」
陪審員席と傍聴席がざわつき、裁判長が机に腕を乗せて頭を傾げた
「検事…それは何故ですか?…コピーだと、検事が改竄(かいざん)したと思われても仕方ないですよ?」
「そう言われると思って、被害者のレコーダーを持って来ました…ですが、この中には個人情報が入っている為、全てをお聞かせ出来ません…なのでコピーのICレコーダーを証拠として提出します!」
裁判長は、両隣の裁判官と話し合い
「10分の休廷とします!」
最初のコメントを投稿しよう!