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小料理屋の隣の店…『スナック 胡蝶』の扉が開き
「ちょっ…あんた!…美沙子ちゃん!…動いていいの?……それに赤ん坊は?」
幾らか歳のいった痩せた女性が、美沙子に驚きの声を上げた
痩せてはいるが、愛嬌のある顔
出る所は出ているが幾らかタレ気味
腰は括れて、臀部は自己主張する
「1ヶ月も休んでたら、おマンマの食い上げになっちゃうよ……産後の肥立(ひだ)ちも良いから、今日から宜しく!…とぉ言っても、暫く夜は開けられないんだ……昼間の定食屋に変えようと思ってる」
女性は…上…2階を見上げ溜め息を吐いた
「赤ん坊だね…夜でこの商売だと、ミルクがやれないからねぇ…首が据わったら、昼間でもおんぶして出来るし…ねぇ、なんて名前だっけ?」
「やぁねぇ…お姐(ねえ)さん…忘れちゃったの?…『遥香(はるか)』よ…『青柳 遥香』…どっかの芸名みたい!?」
元気な顔で笑い、明るく振る舞った
それでも、その女性は心配なのか
「けどさ、昼間でも忙しいんじゃないのかい?」
「昼間は保育園に預けるよ…私も、そうやって育ったし……生後1ヶ月で預かってくれる所を、今区役所と探してるんだけど難しいだろうねぇ……普通は、3ヶ月からだし」
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