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所変わって二週間前。
薄暗い一室に、赤色の髪の少年が白衣を着込み、両手に赤色の液体と緑色の液体が入った細長い容器を持っている。窓は全てカーテンで締め切られ、明かりと言える物はカーテンの端から漏れる日の光だけだった。
赤色の少年の前にあるテーブルの真ん中には、フラスコが小さな火に当てられぽこぽこと沸騰する。その中には澄みきった青色の液体が入っていた。
そのフラスコに、両手に持った二本の長細い容器を近付け、ゆっくり、ゆっくりと傾けていく。
赤色の少年は睨み付けるようにフラスコを見ながら、二本の長細い容器に入っている液体を流し入れる。
半分程液体が入った所で、素早く二本の長細い容器をフラスコから離し、六つの穴の空いた箱に突き入れた。暫くフラスコの様子を微動だせずに確認し、白衣の胸ポケットから掌に収まる程の古びた手帳を取り出し、ペンで何かを書き込んでいる。
そして更に胸ポケットから銀色の輝く液体が入った小指程の容器を取り出した。蓋を外し、フラスコへ近付け慎重に傾けていく。
もう直ぐ銀色の輝く液体がフラスコに流れる、その刹那――バンッ!! と室内と廊下を繋ぐ扉が勢いよく乱暴に開けられた。
完璧に不意を突かれ、且つ極限に高められた集中力が一点に集中していた為、赤色の少年はビグッ!? と震えた。
その拍子にフラスコに近付けていた手首がフラスコの口に当たり中身を盛大にひっくり返し、更には小指程の容器に入っていた銀色の輝く液体が容器から飛び出してテーブルに零れ、輝きが無くなり無色透明な液体、つまり水に成った。
「あ? あ! アァーーーッ!!」
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