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「ひゃう!? 何ですかぁ~? 朝っぱらから五月蝿いですよ~もう」
心の底からショックを受けたような絶叫に、その原因である栗色のミディアムショートの少女が耳を抑えながら不満を口にする。
それに対し赤色の少年は親の仇でも見るかのように栗色の少女をこれでもかと睨み付けている。数瞬後、睨み付けるだけでは物足りないのか栗色の少女の頭にその大きな手を置き力の限り握り締める。
「ミ゛ャァァァ!! 頭が! 中身が出ちゃいますから止めてぇーーーッ!!」
「お前は扉に貼り付けた実験中の紙が見えなかったのか? え? おいどうなんだよゴラ」
返事を聞く為に込めている力を若干緩めた。その時、赤色の少年の視界の端にひらひら舞う白い紙が映った。
「そんな紙見えませんでしたよ!」
「ほう? ならこれはなんだ? 読め」
空いている方の手を伸ばして紙を握り、赤色の少年は栗色の少女に命令する。
「え~っと、実験中立ち入り禁止。ですね」
「よく読めました。で、何で見えなかったのか簡潔に述べよ」
「え~言わなきゃ駄目ですか?」
「とっとと言えやちんちくりん」
「むかっ! 平均より背が低いだけでちんちくりんは酷いです! 断固抗議します!」
赤色の少年が言ったように、栗色の少女の背は赤色の少年の腰当たりである。
「どうでもいいから反省しろちんちくりん! そして牛乳を飲め」
「先輩。牛乳は骨を硬くするのであって背を伸ばす作用は」
「反省しやがれってんだぁー!!」
足払いをして俯けに栗色の少女を倒した赤色の少年はそのまま馬乗りになり、逆海老の刑に処した。
「いだだだだだだだっ!! 人の骨はそっちに曲がらないぃーーッ!!」
「こうやってりゃ少しは伸びんじゃねぇのか!」
「伸びる訳ミ゛ャァァァ!!」
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