第2話

5/6
前へ
/32ページ
次へ
「せ、先輩?」 じりじりと近づいてくる先輩に、私は後ずさりした。 が、背中に塀の感触が当たると、そこで身体は止まってしまった。 「・・・あ、の・・・」 無言で近づいてくる先輩に、驚きを隠せない私は、 「先輩っっ!!」 と、叫んで突き飛ばしてしまった。 「ってぇー・・・」 私の目の前で尻もちをついている先輩は、肘を擦っていた。 その瞬間、私はとんでもないことをしてしまったのに、気がついた。 「あぁ~!!ごめんなさい~!!」 すぐさま先輩に近寄って、肘の具合を見た。どうやら、血は出てないようだ。 私は、ホッとして顔を上げると、 「ふっ・・・」 先輩は私の動きを見て、笑っていた。 「え?なんで、笑ってるんですか?」 「だって・・っ、さっきまで、あんなに俺のこと警戒してたのに、今じゃ、普通に接してるから、おかしくって・・・」 そして、先輩はゆっくりと立ち上がって、ズボンなどに付いた砂を払った。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加