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「せ、先輩?」
じりじりと近づいてくる先輩に、私は後ずさりした。
が、背中に塀の感触が当たると、そこで身体は止まってしまった。
「・・・あ、の・・・」
無言で近づいてくる先輩に、驚きを隠せない私は、
「先輩っっ!!」
と、叫んで突き飛ばしてしまった。
「ってぇー・・・」
私の目の前で尻もちをついている先輩は、肘を擦っていた。
その瞬間、私はとんでもないことをしてしまったのに、気がついた。
「あぁ~!!ごめんなさい~!!」
すぐさま先輩に近寄って、肘の具合を見た。どうやら、血は出てないようだ。
私は、ホッとして顔を上げると、
「ふっ・・・」
先輩は私の動きを見て、笑っていた。
「え?なんで、笑ってるんですか?」
「だって・・っ、さっきまで、あんなに俺のこと警戒してたのに、今じゃ、普通に接してるから、おかしくって・・・」
そして、先輩はゆっくりと立ち上がって、ズボンなどに付いた砂を払った。
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