第3話

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「おはようございまーす!」 朝、私達サッカー部は練習を欠かさず、汗を流していた。 「さーきっ!おっはよー!」 「おはよー、菜々!」 主に朝練は自由なので、私達マネージャーは仕事が少ない。 「ねぇねぇ?昨日、何かあった?」 「昨日?」 菜々がニヤニヤして聞いてくるので、私は何の事かと眉を顰めた。 「だぁーかーらっ!光太郎先輩に送ってってもらった時よ!なんかあったって聞いてんの!」 菜々はワクワクした表情で詰め寄ってくる。 「はぁ。別に何もないけど?」 そう言うと、菜々は「ウソでしょ?!なんかあったでしょ!!」とグイグイ質問する。 「別に何もないって・・・何をそんなに期待してるの?」 「あのねぇ・・・先輩はね・・・」 言葉はそこで止まった。菜々はその先をしゃべろうとはせず、私の頭1個分上を見て、硬直していた。 「菜々?何見てるの?」 私は気になって、後ろを振り返った。 「わ。こ、うたろう先輩・・・」 そこにいたのは、清々しい笑顔の光太郎先輩だった。 「ん。菜々ちゃん、ちょっといいかな?」 「はい・・・何でしょう?」 光太郎先輩は、1回私を見てから、菜々に視線を戻した。 「俺、菜々ちゃんに言わなきゃいけないことあるんだよね。」 すると、菜々は即座に反応した。 「な~んでも聞きますよ?先輩。」 「うん・・・俺さ、本気で頑張ろうと思って。一応、それは菜々ちゃんに知ってって欲しいなって。」 すると、菜々は 「そーですか。でも私、先輩だけじゃないですから、協力してんのは。私もそれだけは伝えておきます。」 と、ニヤリと笑った。 「てゆーか、面白くなりそうな方向に向かわせてるだけなんで、私は。そっから先は、先輩達次第なんで。」 そう菜々がしゃべり終わると、光太郎先輩は 「魔性だね、菜々ちゃんは。」 と苦笑いした。 「そーですか?魔性なのは、咲じゃないですか?」 私は、訳分からない話をぼんやり聞いていた時に、私の名前が出てきて、驚いた。 「えっ?私が何?」 反射的にそう言うと、光太郎先輩は真面目な顔をして、 「・・・そうかも。」 と静かに肯定した。
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