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「に、逃げた方がいいよながっち…相手10人もいるんだよ?勝ち目ないよ」
怯えた声で茅滝が言う。やっぱこいつ、女の子なんだな。
肩越しに茅滝に向けて口を開く。
「茅滝、今日は一人で帰れ。俺の事は気にしなくていいから」
「で、でも!」
「悪いな、俺のせいで怖い思いさせちまって。言ったろ?俺といるとろくな目に合わねぇって」
自嘲の笑みを零し、手を振りながら前に一歩歩み出る。
「じゃあな茅滝、また明日」
敵意剥き出しにしている男たちにきつく睨み付けるような目付きをして顔を向ける。
「場所移そうぜ、いい場所知ってんだろ?」
「……おぉ、付いてこい」
男たちに付いて移動しようとした、まさにその時だ。
「ちょっと待ったーーッ!!」
どこかで聞いた威厳のある声が、唐突に聞こえた。
目を向けた先に声を発したと思われる、声同様に威厳を見せびらかすように腕を組んで仁王立ちしている長い黒髪にウェーブをかけた女がいた。
花壇の上に。
………何故花壇の上に?ていうか、あの女確か…。
「げっ、せ…生徒会長…!」
男たちがあからさまに狼狽え始めた。さっきまでの威勢はどこへやらだ。
「ピカピカの1年生を袋叩きとは情けないですね。男ならタイマンでしょう!タイマン!」
生徒会長がタイマンを勧めるか普通。
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