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「断る」
「……」
ビシッと指さした状態で、生徒会長は硬直した。数秒後、大きく咳払いをし、髪を適当に整え、
「わたくしと勝負して、あなたが勝てば何も言わずここから去ります。が、わたくしが勝った場合……あなたには生徒会に入ってもらいますわ!」
「断る」
「……」
「断る」
念のため、二回言った。
会長は再び硬直。他の奴らも同様に硬直。
「なんで俺があんたと勝負しなきゃなんねーんだ。俺はあんたの後ろにいる先輩らに絡まれたからやろうとしてただけで、あんたとやる理由がない」
「……り、理由ならあります!先輩への失礼な態度や、その頭とか!」
「確かにそうだけど、それは後ろの先輩らも同じじゃねーか?俺に言うより先に、先輩らに言うべきじゃねーか?」
「うっ…」
「…萎えた。先輩、俺帰りますわ。先ほどは失礼しました。それじゃあ」
「まっ待って!話はまだ…!」
「しつけーんだよボケ、帰るっつってんだろ」
吐き捨て、踵を返す。その先で茅滝が唖然としたまま突っ立っていた。
何も言わずに横を通り、カバンを肩にかけ、校門を出ようと踏み出した。
ガシッ、と。カバンを持っていない空いた手を掴まれた。
振り返るより先に、視界がぶれる。一瞬自分がどうなっているのかまでわからなくなった。が、一つわかった事は、
気づいた時には、俺の体は宙を舞っていた。
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