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体が一切言う事聞かず、何もできないまま降下する。落下した先は、絡んできた先輩たちの所。
何人かに受け止めてくれたから地面に叩きつけられる事はなかったが、そんな事を気にしている場合じゃない。
前を向く。見つめる先に、俺を投げ飛ばした張本人がいた。
「……何しやがんだ、てめぇ」
何故か涙目の、生徒会長。俺を投げ飛ばしたのは間違いなくあいつだ。
女のくせに、信じられない力だ。大の男を軽々と何メートルも投げ飛ばしたんだから。
でもな……。
「ふざけんなよてめぇ、いきなり何しやがんだ。無抵抗な奴を投げ飛ばすなんて、会長だからってなんでもしていいと思ってんのか?」
「あ、あなたが話を聞かないからです!生徒会長である前に、わたくしだって一人の人間です。話を聞いてくれないと悲しいんです!」
「……ふざけやがって」
受け止めてくれた先輩たちから離れ、拳を握り、会長を睨み付ける。
「やっやめとけ1年!あの女は本物のバケモンだ、勝ち目がねぇよ!」
後ろから肩を掴まれ、一人の先輩が止めてきた。さっきまで敵視してたのに俺の身を案じてくれるのは意外だったが、それだけあの女はヤバいらしい。
見た目はどこぞのお嬢様みたいなモンだが、力はとてつもなく強い。
「気遣いどぉも、先輩」
肩に置かれた手を払い、前に出る。
「でも俺ぁ、ナメられんのが大嫌いなんだよ」
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