第1話

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カバンを投げ捨て、前に出る。 相手は周りから"バケモン"と呼ばれるほどの奴だ。生徒会長。言ってる事もやってる事も、客観的に見たら、もしかしたらあいつが正しいのかも知れない。 まぁ、だからなんだ、って話だがな。 「やってやるよ、あんたの言う勝負ってやつ。あんたが勝てば俺は生徒会に入る。ただし俺が勝ったら、二度と俺に関わるな」 「生徒会長が生徒に関わるなというのは無理な話ですわ。他のものにしてくれません?」 「だったら、二度と俺にでかい面すんな」 「…いいでしょう。あなたが勝った場合、わたくしはあなたへの態度を改めましょう。それでいいですね?」 「ああ。もう二度と上からモノ言えねーようにしてやる」 腰に手を置いて立つ生徒会長を睨みながら、右足を半歩引く。 茅滝も、後ろの先輩らも無言。何も口にしない。 僅かに静寂が包んだ、校舎前校門付近にて、俺は生徒会長と対峙する。 少しして、 「…来なさい」 偉そうに誘った生徒会長の言葉に従うのも癪だと思いながら、俺はその誘いに乗った。 一気に駆け出し、生徒会長めがけ真っ直ぐ突っ込む。相変わらず手を腰に置いたまま立つ生徒会長に向け、右拳を横から巻き込むように放った。
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