第1話

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私立興蓮(コウレン)高等学校。今日より三年間通う新しい学舎。 学力的に県内では平均レベル。しかし聞いた所によると部活動のレベルはかなりいいらしい。 施設もしっかりしていて校舎も綺麗。これからの学校生活が楽しみではないのかと言われれば、ぶっちゃけちょこっと楽しみではある。 「おい」 高校の行事は中学と比べれば何倍もレベルが高いと聞く。体育祭も、文化祭も、その他諸々も。 「おい!」 つっても、あんまり興味ないんだけどな。特にやりたい事もねーし、そもそも一緒に楽しむ友達みてぇな奴がそん時までにいるかどうかもわかんねぇし。 ちなみに、中学ん時は友達と呼べる奴はいなかった。 何故なら……。 「待てっつってんだろうがボケがぁッ!!」 フゥ…とため息をつき、後ろに振り返る。 変な頭をした男が大きくジャンプし、ドロップキックを仕掛ける態勢で俺に迫ってきていた。 「あぶねぇ…―――なッ!!」 一歩後ろに下がって蹴りをよけ、空振りして驚く男の顔面に拳を叩き込む。 空中で一回転した男は腹から地面に落下し、動かなくなった もう一度ため息をつき、伏せていた顔を上げる。 おんなじような変な頭をした男が六人、敵意剥き出しの目で俺を睨んでいた。 耳に宛がうヘッドフォンを外し、口を開く。 「……入学早々かよ、ま、予想はついてたけど」
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