第1話

20/25
213人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
左頬を撫でながら眉をひそめていると、書記の女がテーブルを四つん這いの体勢でくぐり、こっちに来やがった。 「ちょ…!?なっなんだ!?」 慌てて座り込んだまま床の上を後退する。が書記の女の方が速く、あっという間に追い付かれる。 ドン、と背中に何かが当たった。振り返るとそれは掃除用具入れ。 追い込まれたと理解するより前に、書記の女が俺に覆い被さって来た。 「ち、ちょっ…!!」 「……」 軽くパニックになる俺をジーっと見下ろしてくる生徒会書記、立花葉波。 その距離、10センチちょい。 ち、近い……近い近い近い!!なんなんだこの女!なんで何も言わねぇんだよ!なんでジッと見てくるんだよ!! ワタワタと慌てふためく俺に向け、立花葉波は口を開く。 「……顔」 「へ?」 間抜けな声を出した俺の前に、手鏡を見せてきた。映るのは俺の顔。 …………、は? 立花葉波から手鏡をひったくり、自分の顔をより凝視する。そして、 「なッ、なんじゃこりゃあ!!」 もうパンパンに赤く腫れ上がり、アン〇ンマンみたいになった左頬。左目も腫れた頬のせいでちゃんと開いていない。 「……」 自分の身に起きている状況に唖然とする。これは間違いなく、会長の一撃のせいだ。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!