第1話

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「もうすぐ氷嚢(ひょうのう)を持ってきてくれるから、待ってて」 消え入りそうな声で、立花葉波は鏡をガン見する俺にそう言った。 鏡から目を離し、鏡を返そうと顔を向ける。 「つわッ!?」 さっき以上に近い距離にあった立花葉波の顔に驚き、反射的に離れようとして後頭部が掃除用具入れに激突。 後頭部を押さえて悶絶する俺。そんな俺の顔、腫れ上がった左頬に手を添えて、 「じっとして」 なんて言いながら、再び俺に顔を近付けてきた。俺はたまらず、 「ち、近いって!なんでいちいち近付いてくんだよ!?」 「…心配してるから」 「ありがたいけどもうちょい離れてくれ!頼むから!」 つい無意識に声を張り上げ、なんとかこいつに離れてもらうように頼む。 立花葉波は数秒無表情のまま俺を見つめ、やがて、 「……ふ~」 「ふぃあっ!?」 俺の左頬に、息を吹きかけてきた。 「なッ何すんだいきなり!?」 「……冷そうと思って」 「冷えるかそんなモンで!余計な事すんな!」 「…わかった」 納得してくれたようなので、立花葉波から顔を背けて息を吐く。 「………ふ~」 「ずわはっ!!?てててテメェ!!やめろっつってんだろ!!」 「……おもしろい」 「わざと!?タチわるっ!」
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