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「遅いっっ!!!」
「ぶげへッ!?」
入学式の翌日。登校する早々、俺は校門前にて生徒会長、宮城雪音に殴り飛ばされた。
いやホント、殴り飛ばされた。飛んだんだよ、ホントに。
「何を悠々と歩いて登校しているのです!?生徒会役員は生徒たちに挨拶するために、朝早くに登校するようにと昨日言ったでしょう!?」
「……き、聞いてねぇ…ん、だけど」
「いいえ、昨日確かに言いましたわ!生徒会室で!」
プンプン怒りを露にする会長。だがしかし、俺には全くもって聞いた覚えがないんだが…。
「……あの、会長」
オレンジ頭の生徒会会計、錦瓦祭は恐る恐るといった調子で手を上げた。
「…確かに昨日、会長は朝早くに挨拶運動をすると言っていました」
「ほーら!聞きましたか河上くん!?わたくしは確かに昨日言ったんです!聞き忘れたあなたが悪――」
「で、でも!」
会長の言葉を遮って、錦瓦が言葉を続けた。
「それを言ったのは、河上が帰った後です」
「……、え?」
「それで、会長が後で電話して伝えると言って、昨日は解散になりました」
「…確かに、言ってた」
錦瓦に続き、生徒会副会長、兼書記のちっちゃい女、立花葉波も頷いた。
「……それってつまりよぉ…言い忘れてて、伝え忘れもしたって事か…?」
「…そゆ事」
「…まぁ、ね」
「……」
顔中から汗を垂らす会長は、僅かに震えてるように見えた。
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