213人が本棚に入れています
本棚に追加
ため息を吐き、とりあえずカバンを門に立てかける。大変不本意だが、俺は会長に負け、生徒会役員になった。やらなきゃいけないなら、やるしかない。
「…優しい」
ギリギリ聞き取れるくらいの小さい声のした方に目を向けると、副会長の立花葉波が無表情でこちらを見ながら立っていた。
ありえない言葉が聞こえたので、眉をひそめながら尋ねる。
「……何が?」
「…明らかに雪音が悪いのに、簡単に許した。だから優しい」
雪音ってのは、会長の事か?そういやこの二人親友だったっけ…。
「別にンな事ねぇよ。あのオレンジ女が止めに入ってきて、めんどくさくなったからやめただけだ」
「…それでも、すんなり許した」
「……別に、すんなり許した訳じゃ…」
「何をのんきに喋っていますの?挨拶をしなさい庶務さん」
立花副会長と話している途中で生徒会長に注意された。
元はお前のせいだぞ、お前の。
「…挨拶しよう」
「……あぁ、はいはい、やりますよ」
ぶっきらぼうに言い、話も途中ながら、俺と副会長は今もなお挨拶している会長と錦瓦に並んで立った。
…つか、挨拶運動ってただ生徒連中に挨拶するだけだろ……今さらながらめんどくさくなってきた…。
最初のコメントを投稿しよう!