第1話

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階段を上がって三階にある自分の教室になる1ー4に入る。 すでに何人か新入生が自分の席についていた。初対面同士の近い奴同士がぎこちないながらも話をしている。 …が、俺が教室に入ってきたのを知った途端、ピタッと会話が止んだ。 猛烈な居心地の悪さを感じながらも自分の名前が書かれた名札が置かれた席に座る。 窓際から二列目の最後尾。カバンを机にかけて顔を上げると、視線を反らす気配を感じた。 やっぱ気になんのか……まぁ、いいんだけどな。 居心地の悪さを堪えながら時間が経つのを待っていると、朝礼のチャイムが鳴ると同時に女の教師が入ってきた。あの女が担任らしい。 「初めまして、新入生のみなさん。私があなたたちの担任である麻咲(あさざき)です。科目は数学を担当しているので、わからない事があったらなんでも聞いてください。一年間よろしくお願いします」 ちょっと話すスピードがゆっくりな、のほほんとした雰囲気の先生だなぁ…と頬杖をつきながら眺める。 「それじゃあ次は、みんなの自己紹介をお願いします」 やっぱり来たよ、自己紹介。 名前順という事で俺の順番が回ってくるのにそう時間はかからなかった。 「笹森第2中学出身、河上 永羅。よろしくお願いします」 「よろしく河上くん。ところで、河上くんは不良くんなの?」 ……偉く直球な質問だな。
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