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「いや、別にそんなんじゃないっす」
「でもすごい頭ねぇ、あっ。もしかして高校デビュー?」
「…一応中学からこの頭っす」
「おー!いいですねそういうの!うんうん!やっぱり青春っていいわよね!」
「は、はぁ…」
「でもあんまり無茶して事件とか起こさないでね?担任だからって呼び出されるのイヤだから」
「素直っすね」
「誰でも自分が一番可愛いものよ」
のほほんとしていながら、なかなか胆の座った先生だな。
とりあえず自己紹介も終わったので席につき、あとは適当にぼーっとしながら他の連中の自己紹介を聞き流す。
15分ほどでクラスメイト全員の自己紹介が終わった。
「それでは入学式を行うので、体育館へ行きます。廊下に並んでください」
麻咲先生の指示に従って生徒が廊下に出て名前順に二列に並び、先生の後に付いて体育館へ向かう。
階段を降り、廊下を進んでいる途中で、
「……ん」
俺の前を歩く背の低い女子のスカートにあるポケットから、ピンク色のハンカチが落ちた。
止まることなく拾い上げ、二回ほど軽く振って埃を叩いてから、
「おい、落ちたぜ」
前の女子の肩を一回指で軽く叩き、ハンカチを見せる。
振り返った女子は、まぁ…怯えた顔でハンカチを受け取り、直ぐ様前を向いた。
ふぅ、と息をついた、丁度その時、
「見た目によらず優しいんだね、赤髪くん」
そんな声が、隣から聞こえてきた。
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