213人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
声のした隣に目を向ける。
寝癖があちこちに跳ねる黒髪に、左目の下に泣き黒子のある俺と同じくらいの身長の男……………ん?スカート?
「……女?」
「あっはっは!いきなりの失礼さに笑っちゃったよ。まぁ勘違いされるのは慣れっこだから別にいいけどね」
ニッと笑うそいつは、女にしてはやけに身長が高い。
俺が175センチでほぼ変わらないくらいだから、170近くはあるな…。
「…で、なんだ?」
「そんな素っ気なくしないでくれ、泣きそうになる。この泣き黒子が目に入らないのかい?」
「見えてるけど、ホントに涙脆いのか?泣き黒子ある奴って」
「ホントかは知らないけど、私は涙脆いね。だからそんな冷たい目で睨まれたら泣きそうになる」
「その割には笑顔が輝いてんぞ」
「もぅ、笑顔が似合うなんて甘い言葉をかけないでおくれよ」
「そこまで言ってねぇ」
「はっはっは!キミ、見た目と違って面白いね。そんな怖い顔してたら彼女も出来た事ないだろ?」
「うっせぇ」
「まぁ少なくとも一年間は一緒にやるんだから、仲良く頼むよ。私は茅滝 美詠(カヤダキ ミヨミ)」
「…河上 永羅」
「永羅って変わった名前だね」
「お前も大概だぞ」
「ねぇ、これから永羅って呼んでいいかい?」
「………」
「いやならながっちって呼ぶ」
「じゃあ永羅で」
「よし、ながっちって呼ぼう」
「おい」
最初のコメントを投稿しよう!