第1話

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声のした隣に目を向ける。 寝癖があちこちに跳ねる黒髪に、左目の下に泣き黒子のある俺と同じくらいの身長の男……………ん?スカート? 「……女?」 「あっはっは!いきなりの失礼さに笑っちゃったよ。まぁ勘違いされるのは慣れっこだから別にいいけどね」 ニッと笑うそいつは、女にしてはやけに身長が高い。 俺が175センチでほぼ変わらないくらいだから、170近くはあるな…。 「…で、なんだ?」 「そんな素っ気なくしないでくれ、泣きそうになる。この泣き黒子が目に入らないのかい?」 「見えてるけど、ホントに涙脆いのか?泣き黒子ある奴って」 「ホントかは知らないけど、私は涙脆いね。だからそんな冷たい目で睨まれたら泣きそうになる」 「その割には笑顔が輝いてんぞ」 「もぅ、笑顔が似合うなんて甘い言葉をかけないでおくれよ」 「そこまで言ってねぇ」 「はっはっは!キミ、見た目と違って面白いね。そんな怖い顔してたら彼女も出来た事ないだろ?」 「うっせぇ」 「まぁ少なくとも一年間は一緒にやるんだから、仲良く頼むよ。私は茅滝 美詠(カヤダキ ミヨミ)」 「…河上 永羅」 「永羅って変わった名前だね」 「お前も大概だぞ」 「ねぇ、これから永羅って呼んでいいかい?」 「………」 「いやならながっちって呼ぶ」 「じゃあ永羅で」 「よし、ながっちって呼ぼう」 「おい」
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