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このよく喋る長身女こと茅滝は、別に悪い奴じゃないみたいだ。
めんどくさそうにあしらう俺だが、こんな和やかに話をしたのは久しぶりな気がする。
体育館に入る。すでにいた上級生の連中が新入生を見て何やら楽しそうに話してる。
が、俺に気づくやすぐに顔をひきつらせ、こそこそと何か話し始めた。
見える範囲にいる目付きの悪い連中は、敵意剥き出しで俺を睨んでいる。
「やっぱり目立つねぇながっち。いい意味でじゃないけど」
「まぁな………茅滝」
「何?」
「人目のつく所ではあまり俺と関わらない方が身のためだぜ」
「…あ~、私まで絡まれる事になりそうだから?」
「そゆことだ」
「ふふん、ながっちはホント見た目によらない男だね」
「あ?」
「ながっち、不良のくせに優しいじゃん。私そういうギャップ大好き」
「っ…」
笑いながらいう茅滝の言葉に、一瞬ドキッとした。
よくそんな事を面と向かって言えるな、お前…。
「気にしなくていいよ、私だって自分の身は自分で守るから。それに」
チョンッと手を叩かれ、顔を茅滝に向ける。茅滝はさっきと変わらない笑顔のまま言った。
「いざとなったら、助けてくれるだろ?」
「………、知らん」
「え~何それ!」
こ、こいつ……なんか知らんが手強い気がする…。
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