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パイプ椅子に座り、校長のながったらしい話を聞き流し、在校生代表と新入生代表が壇上に立ち、何か話してる。
「噂だけど、ここの生徒会長。なんかすごいらしいよ」
隣に座る茅滝が小声で言ってきた。偉く漠然とした噂だな。
壇上で新入生代表にマイクを使って話しているのは、なんと女子。この学校の生徒会長は女子なのか。
黒色で、ウェーブがかかった長い髪。凛とした顔付きの女だ。左腕には『会長』と書かれた腕章が付いている。
「綺麗な人だね」
「ん?んん…」
「おや?もしかして見とれてた?」
「アホか」
「こらそこ!うるさいぞ!」
男の教員に指を指されて怒られた。
「怒られちった、テヘペロ」
「………」
………反省してね~…。
舌を出す寝癖女に冷ややかな視線を送っていたため、俺は気付かなかった。
壇上に立つ一人の女が、俺を見て不敵に笑っていた事に―――。
▲
「はい、じゃあ今日はここまでです。気をつけて帰ってくださいね」
麻咲先生のその言葉を合図に、クラスの連中が席を立ち、次々と教室を出ていく。
俺も残る意味がないので、さっさと帰る。
「ながっち~!帰りどこか寄ってこーよ~!」
後ろから近づきながら聞こえる声に、渋々振り返る。
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