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「他の奴と帰れよ」
「なんだい?私と帰るの嫌なのかい?もし嫌って言ったら泣くよ?」
「嫌」
「………」
「……、おわっ!?おまっマジで泣いてんじゃねーか!わっわかったわかった!一緒に帰るから!」
「へへーやったー」
「……テメ、今の嘘泣きか…?」
にこやかに笑いながら教室を先に出ていった茅滝。そのあとを頭をかきながら追いかける俺。
「なんで俺なんかと一緒に帰るんだよ。なんか企んでんのか?」
「やめてくれよ人聞きの悪い。私はただ友達と一緒に帰りたいだけさ」
「………友達って…俺?」
「ん!私の、この学校初めての友達!」
「……」
つい、茅滝から顔を背けた。
面と向かって『友達』って言われた…今までろくに口を聞いてくれるような奴がいなかった俺を…『友達』と言ってくれた。
友達……。
「まぁ、キミ以外とはまだ話してないから、私にはキミしか友達がいないんだけど………あ、もしかして、迷惑…だったかな?」
最後は心配そうな顔で尋ねてきた。
ほぼ真横から見つめてくる茅滝の目に視線を合わせず、ぶっきらぼうに、
「別に、迷惑とか思ってねーよ」
「そっか………よかった」
「っ………お前、時々女みたいな面するよな」
「なっ!私はれっきとした女だ!」
「そのわりには寝癖ボサボサだぞ?」
「いやー、直すのめんどくさくて」
「お前ホントに女か?」
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