第1話

9/25

213人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「他の奴と帰れよ」 「なんだい?私と帰るの嫌なのかい?もし嫌って言ったら泣くよ?」 「嫌」 「………」 「……、おわっ!?おまっマジで泣いてんじゃねーか!わっわかったわかった!一緒に帰るから!」 「へへーやったー」 「……テメ、今の嘘泣きか…?」 にこやかに笑いながら教室を先に出ていった茅滝。そのあとを頭をかきながら追いかける俺。 「なんで俺なんかと一緒に帰るんだよ。なんか企んでんのか?」 「やめてくれよ人聞きの悪い。私はただ友達と一緒に帰りたいだけさ」 「………友達って…俺?」 「ん!私の、この学校初めての友達!」 「……」 つい、茅滝から顔を背けた。 面と向かって『友達』って言われた…今までろくに口を聞いてくれるような奴がいなかった俺を…『友達』と言ってくれた。 友達……。 「まぁ、キミ以外とはまだ話してないから、私にはキミしか友達がいないんだけど………あ、もしかして、迷惑…だったかな?」 最後は心配そうな顔で尋ねてきた。 ほぼ真横から見つめてくる茅滝の目に視線を合わせず、ぶっきらぼうに、 「別に、迷惑とか思ってねーよ」 「そっか………よかった」 「っ………お前、時々女みたいな面するよな」 「なっ!私はれっきとした女だ!」 「そのわりには寝癖ボサボサだぞ?」 「いやー、直すのめんどくさくて」 「お前ホントに女か?」
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

213人が本棚に入れています
本棚に追加