第1話

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二人が立っている場所は路地裏だったが、案外、人通りが多く、すれ違った、 OLやカップルがくすくすと、振り返りながら笑う。 ハルカは慣れたもので、そんなことは気にせず、プレゼントと花束を片手で 受け取り、 ありがとう、ビンタンさんと、言って、お礼の代わりにもう片方の手で、 男の頬にビンタした。 「本当に、かんげきしちゃったよ。ほんとうにうれしい。はるかちゃん、 感動してくれているんだね、うん、ぼくにはわかるよ、ほんと、うれしい なんか、唱和しちゃいたくなったな」 ビンタンさんは涙ながらにハルカを見つめる。   「さ、ビンタンさん、そろそろ行こうか、時間なくなっちゃう」 と、ハルカは妙に冷めた口調で言い、ビンタンさんを促す。 やっぱり、いつもの居酒屋で、食事をとるはめになった。 追加しても良いよ、今日は特別な日だから、 と、言うので、デザートにアイスを注文した。 会計が終わり、外へ出ると、今度、ディズニーランドかシーに行こうよ、 と、ビンタンさんが言うので、 そうですね、また、ご一緒したいですね、 と、ハルカは言って、いつものように別れた。
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