第1話 アタシが私を捨てたワケ

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生まれた街を捨てて、夜の街に身を隠した。 特に何ができるわけでもないし、 夜しか生きていけないんだと自分でも解っていたから。 毎晩、やっと部屋に帰れるほど酔いつぶれてしまう。 そうでもしなきゃ、売り上げが上がらないから。 ここの所、ノルマがキツい。 少し前まではノルマなんてなかったって聞いたことがある。 じっとしているだけで、客がボトルを入れてくれて、 アフターまで付き合うと、タクシー代も何万円もくれたことがある時代があると。 そんなのはもう過去の遺産 アタシには関係ない。 いつの話よ。 あんな田舎であんなイヤな想いをするくらいなら、 ここで体を壊してのたれ死んだ方がよっぽとマシだ。 そんな風に思っていた。
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