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シュウヤはそう言うと、ハルカに目配せしてから、母親に軽く会釈をして店の外へ出て行った。
母親はまた奥へと戻り、ハルカは窓越しにシュウヤの姿を追った。ハルカは軽く腕を挙げて手を振る。
シュウヤは寒そうな顔を一瞬したが、自転車に股がり、力強く手を挙げて、
ハルカを見つめた。
暗闇の中へ消えて行くシュウヤの後ろ姿を見守って、姿が見えなくなると、
ハルカはレジの前に積んだ二つの箱を手前に引き寄せ、丁寧に確認するように
1個づつ数をかぞえ、レジ台の上にそのお菓子を並べた。
店の閉店時間は夜8時で、あと、10分経てば、もう、今日は終わりなんだ、と、
ハルカは思った。
店の奥から、カレーの良い匂いが漂って、お腹すいたな、と、思った。
シュウヤからもらった、子豚の貯金箱を大事に元の箱へ戻し、綺麗に元通り
包み紙に包んで、リボンをかけた。
ふと、窓を見つめると、大気が冷え込むのがわかり、温度差で曇っていた。
小学生の頃は良く相合い傘を書いたなぁ、と、思い、また、描いてみようと一瞬思ったが、恥ずかしくなって手を止めた。
ラジオからは、昔、聞いた曲が流れて、リクエストを募集していた。 *
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