第2話

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昨日、嵐が訪れる直前にハルカは、シュウヤと会った。 シュウヤは、不意に、ハルカの父が経営する日本食料品店「よろずや」 の店先に顔を出した。 夜の7時を回ったところで、店は静かだった。 ハルカがレジで店番をしていると、店のガラス越しにシュウヤの姿が見えた。 ダウンジャケットを着込んで、まだあどけない横顔だが精悍な表情がそこには あった。 ハルカの父が、よぉ、シュウヤ君、元気そうじゃないか、近頃、顔出さないね、 背、少し伸びたんじゃないかぁ? と、大きな声で話をしている。 シュウヤが照れたように笑い、髪を掻き上げながら、そんなことないですよ、 おじさんも元気そうで、と、言う。 しばらく、その光景をハルカは見つめていたが、なかなか、シュウヤは店の中へ入って来る気配がなく、父親とシュウヤのくだらないやりとりにハルカは段々 苛(いら)立って、レジから出て、よっぽど、何か、言ってやろうか、とも 思ったけれど、しばらく考えてから、レジの前のお菓子を整理する振りをして、 店の入り口の所まで歩いて行ったが、シュウヤも父親もハルカのことすら
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