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「……していません。虐めてません! なにかの間違いです」
秋山は涙目になり、訴えた。
「ほぅ? みーなさぁーん! 秋山君が虐めをしているのを、見ましたかぁ~? 報告したものは、先生が特別に目をかけてやろう。
良く言うだろ? 嘘は泥棒の始まりってさ。そんなスタートを切る生徒を、見過ごすわけには、いかないだろぉ? それともなにか? 秋山は虐めをしてませんと、庇う生徒は、いるのかなぁ?」
猿田はグルリと教室を見渡した。
「先生、秋山君は山田さんを虐めています!」
思い切って先陣を切ったのは、神谷だった。
「ほう……やはりな? 神谷君は、とっても正直者だ。さぞかし将来優秀な大人になるだろう。他には、いるか? 見た者は、いるか?」
「見ました! 秋山は虐めています!」
秋山君の大切な友人、鶴が、次に叫んだ。
「あーちゃんも見ました! 男として最低ですぅ!」
晶子は、体をクネクネさせ、その意見に直にのった。
「そうだ、そうだ! 秋山さいてぇー!」
須見君は比較的、るいも嫌ってるからなんとなく分かる。
――でも、こんなに簡単に仲間を裏切るとは思いもしなかった。皆、私を嫌っていたのに。
「鶴……お前は俺の親友だと思っていたのに……晶子や須見まで? お前ら酷いよ! お前らだって!!!!」
秋山は、この流れに冷や汗が額に滲み、立ち上がった。きっとこんな思いは、生まれて始めの経験だろう。
――秋山君。私は毎日のように、こんな気持ちになっていたんだよ?
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