第15話

12/33
前へ
/33ページ
次へ
「秋山、どうやらお前が虐めたのは間違いないな? もう言い訳出来ないだろぉ? お前をかばう人間は、1人もいないじゃないか??」 秋山はギリギリと、無言で歯軋りを繰り返した。 「お前の母親は……ああ、キャバ嬢だったな。くくくっ」 教室がざわついた。生徒達全員、そんな情報は初耳だった。 「まぁいい。お前は放課後、居残りだ。その根性を叩きのめしてやるかな! 今日のホームルームは以上だ。次の教科の準備をするように! あきぃや~まぁ~。放課後、楽しみにしておけ」 猿田は、そう告げると満面の笑みで教室を退出した。 「……山田ぁー! どういうことだよこれは! 猿田に告げ口したのかよ!」 秋山は涙目で私を睨んだ。それは、昔の私の姿でもあり、少しだけ哀れんだ。でもそんな思い、たった1秒くらいの情だった。 「秋山君? なにを勘違いしてるのか知らないけど、私は告げ口していないわ? 告げ口と言う言葉が出る事態、認めたという話だと思うけど? 今の発言、猿田先生に聞かせてあげたいくらいよ」 「調子に乗りやがって! このバイ菌!」 狂気の色が入り混じる瞳……なんで私は、こんなに怨まれなきゃいけないの? 「私、秋山君が嫌いなわけじゃないの。みんな同罪よ……親友に裏切られたのは、お気の毒だと思うけど。 私は信じられる人さえいない。だから分からないけど、その気持ちは計り知れないモノなんでしょうね。でもそれは私のせいではない!」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加