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嬉しいはずなのに、結局は人間として、存在すらしないような状態だった。
――私と会話をする者がいない……力が怖いから? ……それとも?
いるのに、なかったことにする。話しかけても、答えない、シカトという虐めの一種に、ふたを開ければ、良く似ていた。
――私が話し掛けないからだよね……でも怖い。この教室の人なんて、信用出来ないし、なにを伝え合うの? こんな現状は私が望んでいたことなの? 友達なんて、無理な話なのよ。
るい? るいと付き合ったらなにか変わるかしら? ああ、駄目……猿田を怒らせるだけよね。
「綾、これで満足した?」
――え?
「お前の中で、なにが変わったの?」
「気を使うのは止めただけよ。こうやって給食も食べれるようになった。満足に決まってるじゃない」
るいはズルズルっと机を引き摺り、私の真正面へピタリとつけた。
「そう。お前に友達が出来なかったのは、俺のせいでもあるもんな。これからは気を使わないんだろ? じゃ、こういうのもありだよな。一緒に食べよう? これが普通の給食だ」
胸が痛くなり、涙が出そうになった。
るいとはこうして、仲良くやりたい……誰の眼も気にせずに。
でも、るいには猿田の嫌がらせを受けて欲しくないんだ。
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