第15話

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 嬉しいはずなのに、結局は人間として、存在すらしないような状態だった。 ――私と会話をする者がいない……力が怖いから? ……それとも? いるのに、なかったことにする。話しかけても、答えない、シカトという虐めの一種に、ふたを開ければ、良く似ていた。 ――私が話し掛けないからだよね……でも怖い。この教室の人なんて、信用出来ないし、なにを伝え合うの? こんな現状は私が望んでいたことなの? 友達なんて、無理な話なのよ。 るい? るいと付き合ったらなにか変わるかしら? ああ、駄目……猿田を怒らせるだけよね。 「綾、これで満足した?」 ――え? 「お前の中で、なにが変わったの?」 「気を使うのは止めただけよ。こうやって給食も食べれるようになった。満足に決まってるじゃない」 るいはズルズルっと机を引き摺り、私の真正面へピタリとつけた。 「そう。お前に友達が出来なかったのは、俺のせいでもあるもんな。これからは気を使わないんだろ? じゃ、こういうのもありだよな。一緒に食べよう? これが普通の給食だ」 胸が痛くなり、涙が出そうになった。 るいとはこうして、仲良くやりたい……誰の眼も気にせずに。 でも、るいには猿田の嫌がらせを受けて欲しくないんだ。
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